プレスリリース コーポレート おくすり手帳

【プレスリリース】さいたま市薬剤師会×harmo株式会社 市民の健康保持・増進に向けたPHR普及で協定締結

一般社団法人さいたま市薬剤師会(会長 野田 政充、以下:さいたま市薬剤師会)とシミックホールディングス株式会社のグループ会社であるharmo株式会社(本社:東京都港区、代表取締役Co-CEO 石島 知、山東 崇紀、内上 昌裕、以下:harmo)は、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード:個人の医療・健康情報)関連サービスの普及に関する協定を締結しました。この協定は、さいたま市域の患者に向けたPHRサービスの普及と市民の健康保持・増進を図ることを目的としています。



■協定締結の背景


従来、紙のお薬手帳には患者が記載するアレルギー歴などの情報が記載されてはいるものの、記載項目が患者によって異なり、医療従事者が適正に患者の服薬管理するうえで必要な情報に抜け漏れが発生してしまうことがありました。薬剤師の先生方からは「紙のお薬手帳が複数冊になると、その都度情報を転記してもらう必要がある」「紙のお薬手帳だけではさまざまな世代に対応できないのではないか」などの声が挙がっておりました。


この問題を解決するために、さいたま市薬剤師会とharmo株式会社は地域の薬局薬剤師および病院薬剤師などを中心とした医療従事者と共に約2年にわたる協議を行い、薬剤情報管理に必要な項目を選定し、さいたま市域の患者が日頃から携帯・活用できるツールを作成しました。


<お薬手帳カバーとharmo>

また、さまざまな世代、状況にも対応できるようにデジタルのPHRシステムを地域で導入する必要性が再認識されました。さいたま市でもアナログとデジタルの両方のツールを地域に浸透させるべく、本協定の締結に至りました。


以上の背景をもとに、さいたま市内の薬局や病院を中心にお薬手帳カバー※並びにharmoシステム(PHRシステム)の普及を促進させ、さいたま市民の健康増進に貢献してまいります。



※お薬手帳カバー…現時点では仮称(2024年2月)・協定書の内容すり合わせと併せて決定予定




■お薬手帳カバー


お薬手帳カバーとは、個々人の健康情報を、患者を介して多職種で連携するためのカバーです。このカバーの特長は裏表紙に「さいたま市薬剤師会や病院関係者にて協議し、医療従事者が閲覧すべき情報として定義した項目」を明記できる点です。さいたま市域の患者にこのカバーを使用してもらうことで地域の医療機関が患者情報を確認・管理・連携するための一助となり、さいたま市が持続可能でより質の高い医療を受けられる地域となることを期待します。


また、お薬手帳カバーにはカードポケットがあり、お薬手帳や診察券、 マイナンバーカード、harmoカードなどを一緒に管理することができます。一緒に管理し、常に携帯することで、緊急時・災害時などいざという時にも役立ちます。



■地域のPHRシステムharmoの導入


さいたま市薬剤師会では、患者にPHRを常に携帯してもらうための取り組みを進めています。さいたま市域の患者が「harmo」を活用することで、デジタル面でのサポートを強化します。今後はharmoアプリ内で利用可能なPHRデータの充実を図る予定です。


地域の医療従事者と協力し、医療機関同士の情報連携に「harmo」を活用することで、地域内の患者と複数の医療機関との情報の連携をさらに強化します。アナログの「お薬手帳カバー」とデジタルの「harmo」との組み合わせにより、さいたま市域の医療における地域インフラ構築を実現します。



■さいたま市薬剤師会の先生方の声


・さいたま市薬剤師会 会長 野田 政充先生
さいたま市薬剤師会として、さいたま市民の方々に常にお持ちいただきたいPHRをアナログとデジタルの両面で展開できることを大変嬉しく思います。


これからの薬剤師は質の高い情報収集と患者への個別最適化された情報提供を通じて、患者にとって「相談できる薬剤師」を目指すべきだと考えています。


その観点で、地域の患者がPHRを保持し、医療従事者と共有しながら使う未来が必要であると考えており、さいたま市薬剤師会として率先して本活動を推進していきたいと考えています。地域におけるPHR展開実績が豊富なharmo株式会社との協定を通じて、この動きを加速してまいります。



・さいたま赤十字病院 薬剤部 薬剤部長 町田 充先生
一般社団法人さいたま市薬剤師会とharmo株式会社との協定を締結のお慶び申し上げます。この締結によって、さいたま市域の患者が簡便に携帯・活用できるツールが運用されることを喜んでおります。


また、本締結でPHR(「個人健康記録」や「生涯型電子カルテ」)システムの地域導入も実現すれば、市民の健康増進や情報伝達・管理も可能となり、今まで以上に住みやすい地域になると想像しています。
お薬手帳の電子化と既存の紙媒体のお薬手帳を患者のニーズに合わせて運用できる環境創りは望ましいことであり、患者のお薬への関心度が高まり、電子処方箋の普及促進になることも期待しています。加えて、お薬手帳の機能向上により、患者自身の治療への士気向上にも繋がると思います。電子媒体(スマートフォン等)を所持していない患者に対しても、対応可能な仕組みもあり、時代に沿った構築が実現できることと思います。
また、お薬手帳カバーの運用もあり、保険調剤薬局と医療機関との連携も効率化・簡便化されることに大いに期待しており、現在、叫ばれている医療DXへの足掛かりにもなると信じております。本取り組みが、全国でのモデル事業となることを心から望み、さいたま市から発信できるようにしたいものです。



・自治医科大学附属さいたま医療センター 薬剤部 薬剤部長 長谷部 忠史先生
お薬手帳は東京大学病院において始まり、今年で30年となる長い歴史があります。現在ではこのお薬手帳は、私たち病院薬剤師・保険薬局薬剤師・医師・歯科医師そして患者を結ぶ、重要な欠くことの出来ないアイテムとなっています。
当センターにおいて1ヵ月あたり約1,500人の入院する患者に対して、病院薬剤師は全て患者の常用薬確認(初回面談)を入院直後に行います。また最近では、入院前に患者サポートセンターにおいて常用薬確認及び手術前に休薬する必要のある医薬品の確認を行います。これらは入院治療スタートの重要なカギとなり、病院薬剤師は様々な情報収集(服薬状況、併用薬、アレルギー、腎・肝障害等)を行うため、「お薬手帳」をフル活用することになります。救急車で救命救急センターに運ばれた際は特に有用となります。
今回の協定により普及を目指す「お薬手帳カバー」はこの点において最大の効果を発揮します。さらに「harmoシステム」及び「harmoカード」のさいたま市内での普及は、どの薬局でも、病院でも、閲覧が可能となる点において素晴らしい成果が出ることは地域医療連携推進の重要な一歩になると考えます。



・埼玉県立小児医療センター 薬剤部 副部長 嶋崎 幸也先生
小児患者の薬物療法の特徴は、患者の成長と発達にもとづいた変化と多様性にあります。
小児の薬物療法では、医薬品の投与量だけでなく、服用可能な剤形、味覚などの嗜好、保育や就学などの生活環境の変化など多くの情報が必要になります。したがって、安全かつ適正な薬物療法を行うためには、患者と保護者、医師、薬剤師だけでなく、小児の養育環境に関わるすべての人が患者の情報を共有することが重要です。


しかし残念ながら、従来のお薬手帳ではこの部分が脆弱なため、小児の薬物療法を支援するには力不足でした。そこで、小児患者が成長して自からの意思で薬物療法に参加できるまでの支援ツールとして、お薬手帳カバーやharmoを活用することを目指しています。



■さいたま市薬剤師会について


さいたま市薬剤師会は、さいたま市の市民の方々が安心してお薬をご利用いただけるよう、安全と安心をお届けします。今後も健全なる医薬分業を推進し、関係機関との連携を深め市民の健康生活に貢献する活動をしております。
https://saitama-shiyaku.or.jp/


■harmoについて


harmo(ハルモ)は、個々人の医療・健康情報を個人やご家族が活用可能なサービスを開発・提供しています。「harmoおくすり手帳」はスマートフォンアプリケーションおよび専用ICカードを合わせ約44万人の利用者を擁し(2024年1月現在)、全国2万軒以上の薬局で利用実績があります。また、川崎市・神戸市・豊中市・滋賀県などでは地域においては、地域の薬剤師会と協業し、地域住民の健康増進に資する活動を展開してまいりました。
https://www.harmo.biz/


■シミックグループについて


シミック(CMIC)は、1992年に日本で初めてCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、今では開発から製造、営業・マーケティングまでの医薬品に関する総合的な支援業務を提供しています。製薬・バイオテクノロジー・医療機器などの海外企業の日本市場参入や、アジアでの臨床試験実施、米国と日本における医薬品開発および製造のサポートなども展開しています。また、シミックは個人や自治体を支援する新しいヘルスケアソリューションを提供しており、製薬企業のバリューチェーンを全面的に支援する豊富な経験と実績を基盤として、“個々人の健康価値を最大化”する事業モデルPHVC(”Personal Health Value Creator”)の展開を目指しています。シミックグループは、世界中に7,500人を超える従業員とグループ会社28社を擁しています。詳しくはウェブサイトをご覧ください。
https://www.cmicgroup.com/