こんにちは!急に暑くなってきましたが、熱中症対策はばっちりですか?
今回は、harmoワクチンケアを語る上で欠かせない、神奈川県の川崎市川崎区の取り組みについてご紹介します。
川崎エリアでharmoワクチンケアが広まった背景
子どもたちの健康を守るために欠かせない予防接種ですが、実は年間で約6,000件もの接種ミスが発生しているという報告があります(厚生労働省資料より)。
この課題を解決したいという思いから誕生したのが「harmoワクチンケア」です。
同じ想いを持った川崎市立川崎病院 小児科担当部長の楢林 敦先生の全面的なご協力のもと、2020年6月から川崎区の乳幼児の予防接種に対応している病院やクリニックで「harmoワクチンケア 医療機関アプリ」の実証実験がスタートしました。
地域の医療機関と連携を図りながら、接種ミスの防止、接種履歴のデジタル管理といった課題に向き合い、harmoワクチンケアの取り組みは、現場の声を反映しつつ少しずつ形になっていきました。
詳しい経緯については、こちらの記事もぜひご覧ください:
👉 川崎区 実証実験の取り組みについて
川崎エリアでの現在の取り組み(2025年6月27日現在)
川崎エリアでは、harmoワクチンケアの導入が着実に進んでいます。以下は、これまでの実績です。
・導入医療機関数 31医療機関
・予防接種登録数 接種データ:60,433件(登録者数:3,235人)
シール利用:2,896人/カード利用:339人
・アプリ連携データ数(※) 接種データ:9,760件(対象者数:543人)
以下の地図は、harmoワクチンケアを導入いただいている病院、クリニックの分布です。青いマークをクリックすると、ユーザー数も確認できます。
運用の変化と工夫
「カード・シールって何?」と思われた方も多いと思います。ここでは、その運用の変化について詳しくご紹介します!
川崎では、まず試作版のアプリを使った実証実験からスタートしました。当初はharmoおくすり手帳の仕組みを活かし、患者さま専用のカードを発行し、それをタブレットにかざして個人情報の認証を行い、サーバー上の過去の接種履歴を参照して接種可否をチェックするというシステムでした。
その後、持参忘れなどを防ぐため、予防接種の際に必ず持参される母子手帳にICチップ入りのシールを貼り、それをタブレットにかざす方法へと切り替えました。

しかし実際に運用してみると、シールの準備やコスト、個人情報の登録作業など、医療機関の皆さまにとっては思った以上に負担が大きいことも見えてきました。
また、近年では「PHR(Personal Health Record):個人が自分の健康情報を管理・共有できる記録」という考え方が広まり、患者さま自身がスマートフォンで接種記録を確認できることの重要性が高まっています。PHRについては、近日中に詳しくご紹介したいと思いますのでご期待ください!
こうした背景を踏まえ、harmoワクチンケアはユーザー用アプリと医療機関用アプリを連携して使用する仕組みへと方針を転換しました。
現在では、カードやシールを使ってサーバーに記録されたデータもユーザーアプリに連携できるようになり、より柔軟で便利にお使いいただけるようになっています。(表の※が、実際にアプリ連携いただいた数です)
試作版から普及版へ
このように川崎区の医療機関で実証実験をすることで、全国展開する際の課題が見えてきました。また、画面デザインや判定結果の表示方法に悩んだときは、協力医療機関の皆さまに相談し、「こうした方が使いやすいかも」というアイデアをたくさんいただきながら、現場の声を大切に開発を進めてきました。
そして2024年10月、ついに「harmoワクチンケア 医療機関アプリ(普及版)」が完成。
川崎地区では、harmoワクチンケアのスタッフが医療機関を一つひとつ訪問して、試作版から普及版への切り替えをサポートしました。
さいごに~さらなる「安心の輪」拡大を目指して~
川崎区のように、エリア単位でharmoワクチンケアが活用されることで、どの小児科やクリニックでも正確な接種可否判定が可能になり、ユーザーアプリに接種記録が自動で反映されます。これは医療機関の皆さまにとっても、患者さまにとっても使いやすく、安心して予防接種を受けられるという大きなメリットとなります。
また、どのワクチンがどこで多く使われているかなど、エリアごとの傾向も見えてきます。
先日、ワクチンケアに登録されたデータをもとにホワイトペーパーを発行しましたが、さらに多くのデータが集まることで、ワクチンの使用状況についてより深い考察が可能になると思われます。
そして今後は、川崎区に隣接する川崎市幸区への展開も予定されています。
こうした取り組みが広がることで、エリア単位で「安心の輪」が広がっていく——それがharmoワクチンケアの目指す未来です。
今後も、より多くの方に「安心」を届けられるよう、harmoワクチンケアの普及に努めてまいります。