WILLER EXPRESS株式会社 管理本部 保健師 原田リエ 様
安全運行を最優先事項とするWILLER EXPRESS株式会社。同社では、「健康起因事故を起こしたくない」という思いのもと、独自の管理体制を構築してきました。 同社がなぜ服薬管理システムharmo(ハルモ)を導入したのか。そして、導入によって現場の意識はどう変わったのか。管理本部 保健師の原田様にお話を伺いました。
本インタビュー記事は、全3回のシリーズでお届けします。

#01 どうすれば安全を確保できるか?共に考える、頼れる”翻訳者”としての保健師
───まず、御社が健康管理において大切にされている考え方について教えてください。
私たちの健康管理の根底にあるのは、「健康起因事故を起こしたくない」という思いです。これは、すべての取り組みの前提になっています。運転中に意識を失うような事態につながるリスクが、ほんの少しでも想像できる限り、そのリスクを否定する根拠の確認を心がけています。
体制としては、各営業所に配置された健康管理担当者や、産業医の先生方と密に連携しながら進めています。
───健康管理が安全管理と密接に結びついているのですね。安全に対する思いは、「ハイウェイパイロット」という運転手の皆様の呼称からも伺えます。
はい、WILLER EXPRESSでは、運転手を「ハイウェイパイロット*」と呼称しています。安全とおもてなしは表裏一体であり、相互に補完しあうものという考え方に基づいた呼び名です。ハイウェイパイロットは、「安全とサービスを両立したワンランク上の運転手」として、お客様目線の安心・安全なサービスの提供に取り組んでいます。
*高速バス「WILLER EXPRESS」、運転手が「ハイウェイパイロット」に進化! ~「運転手」のイメージを刷新、他業種からのチャレンジを全面支援~
https://www.willer.co.jp/news/press/2024/0403_5811
───原田様は保健師として、どのような役割を担われているのですか?
私は保健師として、医師の言葉や医療情報を、会社が判断しやすい言葉に「翻訳」する役割を担っています。検査結果などは、そのままでは専門性が高く、運行の現場では「具体的に何が危ないのか」を直感的に判断しにくい側面があります。そこで私が間に入り、医療情報を噛み砕いて説明することで、会社が状況を理解しやすくなるようサポートしています。
───医療情報の“翻訳”が入ることで、具体的にどのような変化がありましたか?
社長や本部長、所長も含めて、これまで捉えにくかったリスクが分かるようになり、「なぜこの対策が必要なのか」という意図が正しく伝わるようになりました。
例えば、胸部CTの所見で「冠動脈石灰化」が見つかることがあります。これは心臓の血管の中に石灰化した部分が光って見えている状態ですが、それがその部分だけなのか、あるいは血管全体にコレステロールなどが付着して狭窄しているのかは、精密検査をしてみないと最終的な評価ができません。もし狭窄が進んでいれば、心筋梗塞などを起こし、意識を失うようなリスクに繋がってしまう可能性があります。こうした背景を丁寧に説明し、検査結果を放置せずに精密検査まで徹底する重要性を伝えることで、会社やハイウェイパイロットに納得感を持って理解してもらえるようになりました。
今では、精密検査が必要な方を「絶対受診」として抽出し、会社負担で受診してもらう仕組みを構築することができています。

───翻訳により「なぜ必要か」が明確になり、現場の理解や仕組み構築に繋がるのですね。保健師として、原田様が大切にしている姿勢を教えてください。
保健師としての教科書通りの指導を一方的に行うのではなく、会社の運行を守りながらどうすれば安全を確保できるか、一緒に考える姿勢を大切にしています。
会社に対して、「健康経営ならこれをやるべきです」とだけ言ってもなかなか通用しません。運行維持や人手不足など、会社が抱えている様々な事情があることを理解した上で、安全を確保するにはどうするかを一緒に考えるようにしています。
例えばコロナ禍では、厚生労働省からの難しい通知を噛み砕きながら、会社の運行を止めないようにしつつ、感染を広げないためにはどうするか?ということを、健康目線や行政目線だけではなく、会社目線でも一緒に考える、という姿勢を意識していました。
ハイウェイパイロットへの健康指導でも、その方の環境を踏まえて、「ではここなら改善できそうですね」と具体的な方法を示すことを意識しています。
───ありがとうございました。専門的な医療の内容を翻訳することに加え、現場の事情に寄り添いながら「共に考える」という姿勢が、実効性のある健康管理には欠かせないのですね。次回は、その考え方を実際の運用(受診・通院・服薬確認)に落とし込む仕組みについて詳しく伺いたいと思います。
▶【harmo導入インタビュー】WILLER EXPRESS株式会社 #02 検査で終わらせない。所見を「確実に」安全につなげるために
<インタビュー協力企業>
会社名:WILLER EXPRESS株式会社
事業内容:高速バス「WILLER EXPRESS」の統括管理
ホームページ:https://www.willerexpress.co.jp/
◇harmoおくすり手帳 for Driverについて
harmo株式会社は、医療分野で培った専門知識を活かし、運輸業界が抱える健康課題の解決に寄り添います。harmoおくすり手帳 for Driverは、おくすり手帳アプリを通じて、ドライバーの服薬・治療状況を把握することで、健康起因事故の防止を目指すサービスです。服薬忘れや治療中断、眠気などの副作用によるリスクを防ぎ、治療と運転業務との両立をサポートします。
サービスサイト:https://www.harmo.biz/well-harmo/
