地域医療の情報連携ツールとしての活用事例

神奈川県川崎市では、harmoカードを持参する患者様が増えた2015年から医療機関でも導入が始まりました。地域の中核病院である川崎市立川崎病院でharmoが導入されると、連携している地域の診療所でも導入が進み、病院、診療所、薬局間で、患者様の調剤情報が共有されています。医療機関への導入によって、harmoは「電子お薬手帳」の枠を超え、地域医療の「情報連携ツール」として活用の幅が大きく広がっています。

川崎市地域医療圏の事例

中核病院 川崎市立川崎病院

病床数713床の大規模市立病院。先進医療の推進と高度医療を提供し、地域の基幹病院として、急性期医療や災害時医療などを担っています。harmoは薬剤部から導入され、小児科、内科、救急科に広がっています。

診療所 ナビタスクリニック川崎

駅直結のビルに立地し、夜は9時まで受診できる利便性の高い診療所です。通勤・通学の途中で利用される方や、近隣住民のかかりつけ医としての役割を担っています。診療科は内科、小児科、皮膚科。

薬局 アイン薬局 アトレ川崎店

全国に店舗を構えるアイングループの調剤薬局。ナビタスクリニックの隣に立地し、クリニックからの患者様のほか、駅ナカの利便性の高さから通勤のサラリーマンやOLなどのご利用も多い薬局様です。

中核病院

川崎市立川崎病院
小児科医長 楢林敦先生

電子カルテとの連携も視野に入れ、セキュリティの高さを評価。

お薬手帳をお預かりしなくても、タブレットで確認できるのが良いです。

ここでは近隣の診療所からの紹介状があって患者様を診る流れです。小児科では必要があった場合に、お薬手帳で服薬情報を確認しています。紙のお薬手帳は、薬局によってシールのフォーマットが異なっていて、ちょっと見づらいと感じます。でもお薬手帳は「患者様のもの」なので、あまり長々見ないように気を遣っています。お母さんからお預かりして、確認したら、すぐお返しするようにしています。入力も後からします。スマートフォンのアプリだと、なおさら「患者様のもの」というハードルが上がります。harmoならタブレットは「病院のもの」。カードをかざせば、画面でゆっくり情報を確認できるのがありがたいですね。

harmoは見やすいうえ、間違いなく服薬情報を取り込めます。

川崎市でharmoの実証実験をしているのは知っていて、セキュリティの高いシステムだと興味を持っていました。いずれ電子カルテと何らかの連携ができれば、と思って導入しました。いま、それが実現しつつあるので期待しています。医療機関では、服薬情報を電子カルテに取り込めるのかという点が大きなポイントでしょう。自分で入力するのは結構手間がかかります。今後は自動で読み込みができるということなので、入力の必要がなくなれば我々には大きなメリットです。

医療機関からPHR※の流れをつくりたい。

情報連携の流れを作るには、医療機関への普及が必要だと思います。医療機関が入ると近くの薬局の導入につながります。患者様がカードを提示することで、薬局に服薬情報が蓄積されて医療機関の間で活用できる、個人を起点としたPHRの流れができます。
患者様が使うアプリもたくさん出ていますが、多くは個人で記録するだけのものにとどまっています。harmoは患者様が起点となり、情報をつなぐインフラであるところが、PHRのシステムとして活用できると期待しています。
※PHR(Personal Health Record):個人が自らの医療・健康に関する情報を収集・保存・活用するしくみ。

診療所

ナビタスクリニック川崎
院長 河野一樹先生(小児科医)

医療連携のために導入。今後さらなる連携を期待しています。

川崎病院からの患者様を服薬情報から把握できます。

導入のきっかけは、川崎市立川崎病院からの紹介です。川崎病院と連携ができるということで、患者様の服薬情報を把握でき、便利になると思いました。川崎病院を退院して、すぐこちらに来られる患者様もいらっしゃいます。紹介状の返信が来る前ですと、患者様の経過や何が処方されているかが分からない状態で診察するしかありません。harmoの薬の情報で、前に診察した先生がどう考えていたかが分かります。お薬手帳を持参されていない患者様には、直接聞くのですが、最近はジェネリック医薬品が増えて、名前を聞いてもすぐに分からない薬もあります。harmoはジェネリック医薬品の先発薬がすぐに確認できるのが大変便利ですね。小児科は薬の種類は比較的少ないほうですが、皮膚科や内科は薬も多いので、助かっていると思います。

harmoで、患者様がどこに行っても同じ情報を提供できるのは大きなメリット。

小児科ではお薬手帳の持参率は高いほうです。ただ、管理がお母さん任せになるため、履歴が途切れることもありますし、持参していただかないと分からない。確実な情報ではないことから、お薬の処方が重なってしまうなど問題が起きやすくなります。harmoで確実な服薬情報の管理がさらに進むことを期待しています。
患者様はクリニックを選択する権利がありますから、harmoでどこに行っても同じ情報を提供できることは、患者様にとって大きなメリットになります。患者様の満足度が上がり、我々にとっても便利なので、導入がますます増えるとうれしいですね。

患者様が自分の健康情報を自分で管理するきっかけになれば。

harmoをきっかけに、患者様が「自分の健康情報は自分で管理する」という意識づけができたらよいと思います。自分がどんな薬を飲んでいて、それがどんな効果があるかとか、しっかり自分で把握することが大事です。そうすることで余分な薬や検査を防ぐこともできます。日本はまだ自分で管理する意識が薄いと思いますので、患者様の意識を変えるために、我々も努力しなければなりません。

薬局

アイン薬局 アトレ川崎店
薬局長 蛭田政美先生(かかりつけ薬剤師)

医師と薬剤師が同じ情報を見ている、安心感があります。

導入は患者様メリットのため。結果的に患者様も選んで来てくださいます。

以前から患者様より「ここではharmoは使えないのですか」といったお声を聞いていました。川崎市ではharmoが普及していることは知っていましたので、隣接しているナビタスクリニックさんがharmoを導入されたことをきっかけに患者様へのメリットを第一に考え、harmo導入を決めました。harmoがあることで当薬局を選んで来てくださっている患者様も少なくないと実感しています。「紙のお薬手帳は持っていないが、harmoならいつも財布に入っているからここに来た」という患者様もおられます。
業務のなかでは、お薬手帳は個人情報なので、お預かりしたときに紛失や渡し間違いのないよう気を遣うのですが、harmoはカードで、薬剤師はタブレットで見ればいい。心理的な負担が違います。

タブレットの画面が見やすく、薬剤師に使いやすい仕様です

harmoは履歴が分かりやすいですね。前回処方との照らし合わせが一つの画面で表示され、大変見やすいです。重複していてもすぐに分かります。他の薬局で調剤された分も合わせて、どんな薬がでているかを把握できるので、患者様に薬をお渡しするときに「他で服用されていたことがありますね」といった話もしやすいです。

地域医療全体に広がれば全員にメリットがあります。

クリニックと我々が、互いに見ている情報が一緒なのが良いですね。“地域包括ケア”という意味でいうと、harmoは橋渡し的なもの。共通の言葉のようなものになると思います。地域全体に利用が広がれば、利用者すべてにメリットがあります。たとえばクリニックの先生が、診察時にharmoで患者様の薬のチェックをしていただくことで、薬の無駄な処方や残薬の防止にもつながりますし、当局からの疑義照会も少なくできると思います。